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食品添加物は危険?管理栄養士が教えるメリット・デメリット

食品添加物と聞くと、なんだか危険なイメージを持つ方も少なくないのではないでしょうか?
実は、食品添加物にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる役割があります。このコラムでは多種多様にある食品添加物のメリット・デメリットについて分かりやすく解説。正しい知識を身につけ、毎日の食品選びに役立ててください。

食品添加物とは

食品添加物とは、食品の製造・加工・保存を目的として使用される香料・着色料・甘味料・保存料などのことです。以前は合成添加物のみが食品添加物として扱われてきましたが、今は着色に使われるクチナシやバニラ香料など、天然のものも食品添加物として指定されています。以下に定める内容が実証され、安全性が確認できたものが食品添加物です。

(1)食品の栄養価を保持させるもの
(2)特定の食事を必要とする消費者のための食品の製造に必要な原料又は成分を供給するもの
(3)食品の品質を保持し若しくは安定性を向上するもの又は味覚、視覚等の感覚刺激特性を改善するもの
(4)食品の製造、加工、調理、処理、包装、運搬又は貯蔵過程で補助的役割を果たすもの

引用:厚生労働省「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」

食品添加物は身体に悪いのか

食品添加物というと、一般的には良くないイメージを持たれがちです。しかし実のところ、有効性はもとより安全性が認められたものだけが食品添加物として登録されています。食品添加物は厳格なルールのもと認定・使用されているので、一生食べ続けても害がないものばかり。しかも、ラットやマウスを対象とした実験において有害な影響が見られない量の1/100が安全な量と定められています。実際には、この量よりもさらに少ない量が使われており、リスク管理は徹底していると言えるでしょう。

一方で無添加食品は身体に良いというイメージが強くあります。しかし、無添加表示には食品添加物のようなルールはありません。無添加=安全とは限らないのです。無添加だからこそ味や見た目が悪くなりやすかったり、カビや菌が繁殖しやすかったりと、デメリットも当然あります。「無添加だから安全」、「食品添加物は怖い」というのは単なる思い込みに過ぎず、科学的な根拠はないことをしっかり頭に入れておきましょう。

もしも食品添加物がなかったら

2023年7月13日の時点で日本で使用できる添加物は、指定添加物474種類、既存添加物357種類、天然香料613種類、一般飲食物添加物106種類です。

それぞれ、食品を長持ちさせたり、舌触りを良くしたりと、私たちの食生活を豊かにする大切な役割を果たしています。これらの食品添加物がなかったら大変なことになります。食品が腐敗しやすいので、スーパーや飲食店などで廃棄が相次ぎます。私たちも頻繁に買い物に行かなければいけません。無理して食べようとすれば食中毒の危険があります。

それだけではありません。味や香り、食感も悪くなるので、食事をする楽しみが減ってしまうでしょう。ぼそぼそのパンや、色や形が崩れたゼリー、ぐちゃぐちゃのかまぼこなど……私たちが見知った食品ではなくなってしまいます。

無駄なく美味しく、そして楽しく食べるために食品添加物は欠かせません。

参考:厚生労働省「使用できる添加物の品目について」

工夫されている食品添加物の表示

食品添加物は容器包装や値札などに表示されています。「添加物欄」または「原材料名欄」に、食品中の添加物に占める重量割合の高いものから順に表示されているので、最初の方にあるものほど含有量が多いです。原則として、食品添加物は物質名で表示することになっていますが、一般的な消費者にも分かりやすいように、よく知られている簡略名で表示される場合もあります。また、物質名と用途を併記しなければならない食品添加物もあり、甘味料や着色料、保存料といった具合に用途・効果を明確にする工夫がされています。

ちなみに、製造・加工工程で使用されたとしても、以下の3ケースにおいては表示義務がありません。

①加熱や洗浄により、最終的には食品に残らない食品添加物
②含まれている量が限りなく少ないため、本来の効果を発揮できない食品添加物
③製造・加工工程で失われた栄養素を補給するための食品添加物

カロリーなどの栄養表示を見る方は多いと思いますが、どのような食品添加物が何のために含まれているのかも、機会があればぜひ見てみてください。

参考:消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識(消費者向け)」

食品添加物のデメリット

ここまで食品添加物のメリットを中心にご紹介してきましたが、食品添加物が「身体に悪い」と思われるには相応の理由があるはず。そこで、別の面から見た食品添加物のデメリットについてもご紹介します。

まず、食品添加物はそのままで食べることを目的としていません。食用ではなく、あくまで食品の補助としての機能を認められたものです。そのため、食品添加物を使ったダイエットなどにより大量摂取した場合には健康被害を生じる恐れがあります。あくまで「添加」するものとして安全性を認められているにすぎません。薬のように正しい用法・用量を守っていれば問題ないものなので、食品添加物の摂取量には気をつけましょう。

また、食品添加物は複合摂取した場合の影響が未知数です。厚生労働省による食品添加物の安全確認試験は対象の食品添加物のみで行われています。多種多様にある食品添加物を複合的に摂取された場合の影響についてはきちんと検査されていません。ですが、一般的に出回っている食品には複数の食品添加物が含まれていることがほとんど。だからこそ、一つひとつは安全性が確認されていても不安になる方がいるのでしょう。

では、安全に食品添加物を口にするにはどうしたら良いのでしょうか。一つの工夫として、調理方法でひと手間かけることが挙げられます。パンやゼリーなどは難しいですが、ハムやベーコンなどであれば湯通しするのが効果的です。食品添加物だけでなく余分な油や塩分も落ちるので、より食卓を健康にできます。気になる方は、いつもの調理にひと手間かけるのがおすすめです。

食品添加物のことを知って毎日を美味しく快適に

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世の中ではイメージばかりが浸透してしまい、正しい知識が埋もれてしまっていることがたくさんあります。食品添加物もその一つ。正しく食品添加物について理解し、毎日の食生活を豊かにしたいですね。食事は毎日口にするもの。食品添加物に限らず、正しい知識を持って食材選びや調理をしましょう。

えいようJoinでは、食と健康に関するご相談を随時受け付けています。何か気になることやお悩みがある方は、ぜひえいようJoinまでご相談ください。

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