企業から管理栄養士へ依頼される業務のなかで1、2を争うほどニーズが高まっているのがコラムです。企業側が専門家にコラム執筆を依頼したいと考える大きな理由は、やはりその信頼性にあります。食や健康のスペシャリストである管理栄養士には、専門的な知識と栄養学に携わってきた者ならではの視点が備わっています。そして、それらを言語化するために覚えておくべきなのが「参考文献の正しい書き方」。せっかく需要にマッチしたコラムを執筆しても、参考文献の書き方が稚拙だと信頼性はガクッと下がってしまいます!今回はコラムや監修記事の執筆時に役立つ正しい参考文献の書き方を紹介します。
目次
参考文献とは?
そもそも参考文献とは自身の文章の中で引用した、他人の文章、意見、データのことや文章を書く際に参考にした文献のことを指します。「イソフラボンは女性ホルモンとよく似た働きをするので更年期障害の症状緩和に効果的」「カプサイシンはエネルギー代謝を助けるホルモンの分泌を促してくれる」など栄養に関する知識は一人の人間の思いつきではなく、国や世界的な研究機関がきちんとした検証を経て、正式な結果として公表することで初めて「科学的根拠に基づく情報」として認められます。
それらの情報を自身のコラムに記載したにも関わらず参考文献の書き方に不備があると、他人の研究結果をあたかも自分の成果のように述べる「盗用」とみなされたり、情報源が特定できないことから「信頼に足らない情報」ととらえられたり……。クライアントにとってはせっかく信頼性の高い文章を期待して専門家に依頼したにも関わらず、意図した成果を得ることができず満足に繋がらない可能性も。
せっかく自分を指名して仕事を託してくれたのですから、期待に応えたいですよね。書き上げたコラムを台無しにしないためにも、「参考文献を正しく書くこと」はとても重要なのです。
参考文献の役割
参考文献を記載する主な目的は次の3点となります。
- 自分の主張が過去の研究に基づいていることを証明し、正当性を裏付けるため
- 先行する著者(先人)に対する敬意を払うため
- 出典を明記することで読者に情報を提供するため
上記以外にも参考文献の記載が不十分であった場合、それは他の人の研究結果を自分の研究結果として無断借用したとみなされてしまいます。クライアントの期待に応えることはもちろん、自分自身を守るためにも正しい掲載方法を学びましょう。
参考文献を掲載する際の注意事項
参考文献を記載する際には、いくつか注意しなければならないポイントがあります。下記の項目をしっかり把握してからコラム執筆に取り組みましょう。
信頼できる情報を活用
参考文献として利用する資料は信用性が高いものを選びましょう。具体的に言うと「教科書」や「ガイドブック」「国立機関が提示するデータ」などです。反対に、誰かが趣味で書いているコラムや営利目的のサイト(商品サイト)は避けてください。
何かを介して開示された情報は、ときに最新の情報に更新されていなかったり信憑性の低い情報が入っていたりする可能性があるため信憑性に欠けてしまいます。自身の信用にも関わりますので、参考文献は国や公的機関、研究機関などが発信しているものに限って使用してください。
参考文献の丸写しはNG
コラム執筆における最大のタブーがコピー(丸写し)。いくらデータや研究結果は参考元から得られた情報だからと言って、文章そのものを自身のコラムにそっくりそのまま転用してしまうのは厳禁です。
そもそもコラムとは個人の意見や分析を加えた評論文のこと。科学的根拠を基とした正しい知識を自分の見解を入れ込んだ言葉で読者に向けて発信してください。
「どうしてもこの一文はそのまま入れ込みたい!」というときは「引用表現」を使用しましょう。引用文の頭に【>】の記号を付け、文字の網掛け機能を用いて引用文を明確にします。引用元リンクは引用文のすぐ下の行に記載してください。
≪引用例≫
>えいようJoinは、食と健康の専門家である管理栄養士にライティングや企画といった研修を行った「プロフェッショナル集団」に、仕事の依頼ができるサイトです。
引用元:えいようJoin 「トップページ」
PDFのリンクは避ける
PDFは、時間がたつとオンライン上から削除されてしまい、見られなくなる可能性があるので直接リンクを貼るのは避けましょう。PDFの前のページ(ダウンロードするページ)のリンクを使用してください。
≪PDFリンク例≫
OK 参考:厚生労働省 「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」 (PDFへのリンクが掲載されているページ)
NG 参考:厚生労働省 「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」 (PDFのページ)
あなたは大丈夫? 正しい参考文献の書き方
参考文献の記載方法は大前提として「読み手がもとの文献にたどり着けるだけの情報を明記」する必要があります。また、参考元がWEBサイトなのか文献なのか、教科書なのかによっても明記が必要な情報が変わるので、それぞれの書き方を把握しておくと良いでしょう。
えいようJoin推奨表記 ~著書の場合~
参考元が紙媒体として存在する場合は、著者名、著書タイトル、出版社、出版年、該当ページを記載してください。教科書もこちらに該当します。ただ、雑誌の場合は少し特殊です。著書名、章タイトル、学術誌名、出版年、巻、号、該当ページの順で記載すると漏れがなく良いでしょう。
≪著書(教科書含む)記載例≫
参考文献:吉田勉 ほか,「最新 基礎栄養学 第9版」,医歯薬出版,2019年, p34-35
≪雑誌記載例≫
参考文献:川上喜代 ほか,「病院給食におけるハラール個別対応の実態」栄養学雑誌,2022年,80巻,1号
えいようJoin推奨表記 ~WEBサイトの場合~
参考元がWEB媒体だった場合は、団体名、サイト名、「タイトル」、URLを記載してください。URLはリンク挿入機能を使用し、記載例のようにサイト名~タイトルに埋め込みができるとさらに良いでしょう。また、正確に言うとWEB媒体は文献ではないので【参考】として表記します。
≪WEBサイト記載例≫
参考:厚生労働省/e-ヘルスネット「メタボリックシンドローム(メタボ)とは?」
管理栄養士必見! 使用頻度の高い参考文献
食や健康にまつわるコラムを執筆する際、多く用いられる参考文献を集めました!ぜひ記載方法を参考にしてみてくださいね。特に「日本食品標準成分表」は【出典】もしくは【引用】として表記するよう決められているので、表記の際は注意が必要です。
≪使用頻度の高い参考元一覧≫
出典:文部科学省/日本食品標準成分表2020年版(八訂)
参考:厚生労働省/日本人の食事摂取基準(2020年版)
参考:厚生労働省/e-ヘルスネット「〇〇」
まとめ
今回はコラムや監修記事を執筆する際に必要になる、参考文献の記載方法についてご紹介しました。文献の場合とWEBサイトの場合で表記しなければならない項目が違うので要注意。それぞれ不足事項がないように、わかりやすい順番で記載するよう心がけてください。
参考文献の書き方がきちんとしていると、コラムそのものの信頼性もアップ!クライアントからの印象も良くなります。正しい書き方をマスターして、「次のコラムもお願いしたい!」と思われる執筆者を目指しましょう。