2020年以降はパンデミックの影響で生活が一変してしまったこともあり、メンタルヘルス問題が急増しました。これは単に外出できないというだけでなく、摂取する食品、特に体の30%を占める“脂質“の「質」が、以前にも増して悪くなったことも起因しています。
私たちの体はおよそ37兆個もの細胞からなります。その細胞を一つひとつ包んでいるのが細胞膜であり、これは脂質をもとに作られます。つまり細胞=体の状態を左右するのが脂質の「質」です。細胞を美しく健康な状態にすることができれば、脳内の神経伝達物質の調整を正しく行い、神経の高まりを抑え、不調や不安な気持ちを抑制し、心身ともに健康な体を作ることができます!
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油が古くなる原因と体への影響
例えば、まだ新鮮だと思っていたきゅうりが腐りかけていたり、あとで使い切ろうと思っていたアボカドの残り半分が真っ黒でもう食べられない状態になっていたり……。
誰しも1度は経験したことがある”冷蔵庫あるある” が、実は家庭で使う「油」でも起こっていることをご存じでしょうか?
油が酸素に触れることで反応して起こる変化を油の酸化と言い、油が劣化する原因になります。 酸素以外に油を劣化させる要因として光や熱があります。いずれも油と結びつくことで劣化が進み、油の品質は低下していきます。
油が劣化する原因
酸素: 空気中や開封後の容器内の酸素と油が接触することで油の酸化(劣化)が進みます。
加熱: 油は高温になることで、油に含まれる脂肪酸に熱重合や、熱分解といった変化が生じることで酸化が進みます。
日光・蛍光灯: 光は油に含まれる色素物質などに反応し、油の酸化が進みます。
ご家庭での調理あぶらや調理後のお料理の保存方法に当てはまるものはありませんか?
油の酸化は食品に比べると色やにおいの変化が分かりにくいため、古いあぶらをそのまま使っているケースも少なくありません。
しかし酸化した油を摂取すると体内に活性酸素が増え、今度は体が酸化します。さらに、油の成分である脂肪酸は活性酸素と反応すると「過酸化脂質」というものになります。
活性酸素も過酸化脂質も、過剰になると体にマイナスな作用を及ぼしますので、さまざまな不調の原因になります。
少量の油も体への影響力は大きい
普段からそんなにたくさんの油を摂っていないよ、と思う方も多いでしょう。
しかし三大栄養の1g当たりのカロリーはタンパク質4kcal、糖質4kcalに対し、脂質は9kcal。つまり同じ100gのものを摂っても、脂質は倍以上のカロリーが体に入ってくるのです。脂質が少量でも体に及ぼす影響が大きい理由がおわかりいただけるでしょう。
先に述べたように体の30%は脂質でできており、主に脳を動かしたり細胞膜に使われたりします。そして体は「食べたもの」で作られていきます。
特に料理に使われる調理油など普段から口にするものは、保存方法に気を付けなければ悪い油を長い期間摂取し続けることになります。塵も積もれば何とやらと同じで、気が付かない間に体細胞にダメージが蓄積され、集中力の低下や疲れやすさ、暴飲暴食、気分の落ち込み、不安や焦燥感が増加し鬱などの症状につながります。
余談ですがオックスフォード大学が市販のバターをチェックしたところ、店頭に並んでいる状態で、すでに全体のコレステロールの12.3%が酸化していたとのこと。これは恐ろしい結果ですね。※
※参考:Lipid Oxidation Products in Food and Atherogenesis Stan Kubow, Ph D Nutrition Reviews, Volume 51, Issue 2,
良質な脂ほど劣化しやすい
特に体に良いとされるオメガ3などのフィッシュオイルは非常に不安定な成分で、酸化のストレスに弱く腐りやすいです。良いものを使っているつもりでも、光や空気に触れるなど、保管方法が悪ければ体にダメージを与える状態に変化してしまうので、取り扱いには注意が必要です。
なら、そもそも脂質を取らなければいいじゃない!
とはいきません。脂質は細胞機能、臓器保護、体温調整などに不可欠な栄養素です。近年ではダイエットなどで低脂肪にこだわりすぎた結果、体で必要な量の脂質が足りなくなり、加えて体内で作ることができない必須脂肪酸が不足。結果的に便秘により腸内環境が乱れ、脳の神経伝達物質の分泌のバランスも崩れるため、頭痛やお腹の張り、肌の乾燥などの不調や、不安感の増大、イライラ、睡眠の質の低下などにつながり問題にもなっています。悪い脂質を摂りすぎるのと同様に、体に大きな影響を与えるので避けすぎるのも良くありません。
また脂質はビタミンA、D、E、Kの吸収に必要であり、エストロゲンやテストステロンといった重要なホルモンの生成にも使われていきます。せっかく健康のために野菜をたっぷりと摂っていても、脂質を減らしすぎたせいで身体に吸収されないのではもったいないですよね。
健康で健やかな体内環境へと導くためにも、日頃から酸化・劣化した油を摂らないようにすることが大切なんですね。保存方法に気をつけて、良質な脂質を適量摂っていきましょう。