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【子育て世代必見!】健康に良い油があるの?脂質のギモンを管理栄養士が解説

脂質と聞くと「脂っこい」「太る」「身体に悪そう」など、健康によくないイメージがあり控えている方も少なくないのではないでしょうか?
実のところ脂質とはさまざまな構造の総称を示すため、なかには「身体に良い」とされている種類があり、子どもの発育に良い影響を与えるものもあります。このコラムでは身体に良いとされる脂質の種類、子どもの発育との関係についてわかりやすく解説しています。

脂質ってなんだろう?

脂質は、炭水化物・たんぱく質に並ぶ3大栄養素のひとつです。脂質を構成する主要な構成要素を「脂肪酸」といいます。
油と聞くと、身体に悪そうなイメージがありますが、栄養学的には、構成される脂質の中にどんな脂肪酸が含まれているかがポイントです。

脂肪酸の分類「4つに分けて考えよう」

脂肪酸は、構造の違いにより以下の4つに分けられます。

【飽和脂肪酸】

肉やバター、ココナッツオイルに含まれます。人の体内で合成できる油です。

【不飽和脂肪酸】

一価不飽和脂肪酸
オリーブオイルやキャノーラ油に含まれ、オレイン酸を多く含みます。人の体内で合成できる油です。

多価不飽和脂肪酸
人の体内で合成ができないため食事から摂る必要があり「必須脂肪酸」と呼ばれています。オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸に分類され、炎症に関わる油です。

【トランス脂肪酸】

植物油から人工的に作られた脂肪酸のことをいいます。マーガリンやショートニング、加工食品や菓子類に使用されていることがあります。

 

このうち、「身体に良い」とされている油は多価不飽和脂肪酸である「オメガ3系脂肪酸」です。

参考:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kihon/fatty_acid.html

炎症に関わる脂肪酸がある「オメガ6系とオメガ3系」

同じ多価不飽和脂肪酸である2つの脂肪酸ですが、炎症に関わる真逆のはたらきをしています。

【オメガ6脂肪酸】

炎症を促進させるはたらきがあり、リノール酸を多く含みます。サラダ油、紅花油、大豆油などに多く含まれています。

【オメガ3系脂肪酸】

炎症を抑えるはたらきがあり、αリノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)を含みます。魚油、しそ油、えごま油、亜麻仁油などに多く含まれています。

 

炎症とは、体内に細菌やウイルスが入ったときに排除しようとする身体の反応のことをいいます。風邪をひいて熱がでた、虫に刺されて皮膚が腫れたなどの経験は誰もが1度は経験したことがあるかと思います。このような炎症反応は一時的で、通常はしばらくすると治まります。しかし炎症促進のはたらきが強くなると、体内の炎症がなかなか消えず慢性炎症につながります。体内で小さな炎症が静かに続いているような状態であり、心身の不調の原因になることがあります。

この炎症を促進させるオメガ6系脂肪酸はさまざまな食品に含まれているため、現代人は摂りすぎる傾向があるといわれています。そのため積極的にオメガ3脂肪酸を摂り入れることが大切なのです。

子どもの発育に関係?!オメガ3脂肪酸の作用

脳は身体のなかで脂質の含有率が高い部位といわれています。なかでも特に子どもの発育に関わるのがDHA(ドコサヘキサエン酸)という栄養素です。少し難しい話になりますが、脳には、血液中の有害な物質が自由に脳まで通過できないように「血液脳関門」というバリア機能があります。DHAは、この血液脳関門を通過し脳に到達することができる数少ない栄養素のひとつです。同じオメガ3脂肪酸にはEPA(エイコサペンタエン酸)がありますが、EPAはこの脳の関門を通過することはできません血液脳関門を通過できるということは、脳神経系に働きかけることができるため、言語や知能などが急速に発達する乳幼児期や成長期には、積極的に摂るとよいとされています。

参考:https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/108412
   https://himitsu.wakasa.jp/contents/dha/
   https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/10.html

妊娠期・授乳期にも大切

またDHAは、赤ちゃんの中枢神経や網膜の発達など脳や視覚に関わる栄養素です。これから妊娠を希望する方や妊娠中、授乳中の方はとくに食事から十分にDHAを摂り入れましょう。
妊娠中の水銀の影響を考慮する場合は、サバやイワシなどの小さな魚を選択する、DHAサプリメントを活用することもおすすめです。

参考:栄養学と食事療法大事典 L・キャスリーン・マハン他 著
   https://himitsu.wakasa.jp/contents/dha/

酸化に注意! オメガ3系脂肪酸のデメリット

積極的に摂りたいオメガ3系脂肪酸ですが、多価不飽和脂肪酸は酸化しやすいという欠点があります。食品から酸化した油を摂った場合でも、大部分は消化管で分解や還元され毒性が弱められるといわれています。しかしこれらが体内に吸収されると身体の炎症を促進させてしまう要因となるため、酸化を防ぐ工夫が必要です。

酸化を防ぐポイント「熱・光・酸素を避ける」

①遮光瓶を選択
容器本体あるいはラベルに色がついている遮光性のある容器を選ぶことで透過を防いでくれます。透明容器の場合は箱にいれて保存します。

②多層構造になっている商品を選ぶ
スーパーの食品売り場には、醤油やソース、油など酸素や水蒸気などが入らないように工夫された機能性ボトルが売られています。中身を新鮮なまま保つことができる容器になっているので、手軽に使いたい方におすすめです。

③冷蔵庫で保管
開封後は冷蔵庫での保管がおすすめです。ふたはしっかりと閉めましょう。

④加熱は避ける
熱に弱いため加熱調理には向いていません。サラダやお味噌汁にひとさじ加えるなどの使用法が向いています。

⑤使い切れる量を買う
期限内に使い切れるよう、小さめの容器を選択することもひとつの方法です。

⑥抗酸化作用のある栄養素を摂る
抗酸化作用のあるビタミンCビタミンEを摂ることもおすすめです。ビタミンCとEは一緒に摂ることで相乗効果が得られます。ビタミンEはアーモンドやアボカド、ビタミンCは赤ピーマンやブロッコリーに多く含まれます。

参考:カラーアトラス栄養学 ハンス・コンラート・ビーザルスキ他 著
   https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/11.html

オメガ3系脂肪酸で健やかな毎日を

オメガ3系脂肪酸は酸化を防ぐために保存方法に注意する必要がありますが、どれも少しの意識でできることばかり。妊娠を考えたときから出産、授乳を経て子どもの成長期まで欠かせないとても重要な栄養素です。

お子さんの健やかな成長をサポートするために、日々の食事にオメガ3系脂肪酸を摂り入れてみませんか。

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