健康経営における従業員の健康意識を上げるためにさまざまな取り組みをされていることも多いのではないでしょうか。管理栄養士が関わることでより一層、食事の改善につながり、従業員への健康の意識を高めることができます。今回は、管理栄養士の役割から、従業員の健康意識のサポートについてお伝えします。

健康経営とは

そもそも、健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。
従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
そのためにも従業員の健康意識を高めることが大切になります。

管理栄養士の役割とは

管理栄養士とは、従業員の健康管理や食事に関する専門知識を持つ栄養や食事のプロフェッショナルを指します。
生活習慣病の増加や、それと関連した疾病の発症を抑制するためにも、健康な生活を営むことができる栄養や食事について、提供することができます。

病気になってからではなく、なる前に健康寿命を長くする生活の在り方、すなわち個々の生活様式に即した疾病を「予防」するための日常的な食生活を提案し、従業員の健康意識を高めます。

従業員の健康意識向上を図るためのアプローチ

従業員の健康意識を向上させるための効果的なアプローチ方法として、下記が挙げられます。

食堂メニュー充実や弁当利用の促進

管理栄養士は食堂メニューに関する情報を提供し、従業員が栄養バランスの取れた食事を選択できるようにします。
メニューの栄養成分やアレルギー表示、従業員が自分に合った健康的な選択ができるようにサポートします。

食事や飲料にカロリー、栄養素を表示して取り入れる働きかけ

自動販売機や飲み物の提供場所にカロリー表示を掲示することで、従業員が健康的な飲み物を選びやすくします。
砂糖やカフェインの量も併せて表示することで、意識的な選択ができるようになります。

他にも低カロリーや無糖の飲み物、自然由来の成分を使用した飲み物、ビタミンやミネラルを豊富に含む飲み物など、従業員が健康的な選択肢を利用できるようにします。

継続的な食生活改善や料理教室などの社内外のイベント実施

管理栄養士が健康セミナーやワークショップを開催し、従業員に対して栄養教育や健康的な食事の重要性について啓発します。
具体的な食事のポイントや健康増進のための行動指針を提供し、従業員の健康意識を高めます。

定期的・継続的な食生活改善に向けた取り組み

管理栄養士は従業員との個別相談やカウンセリングを通じて、健康状態や食事に関する悩みや目標を把握します。
適切な食事プランやアドバイスを提供し、従業員が健康的な食事を実践できるようサポートします。

朝食欠食対策としての朝食提供

従業員が出勤する時間に合わせて、社内食堂やカフェの営業時間を早めることで、朝食を提供します。
早朝から栄養バランスの取れた朝食メニューや軽食を用意し、従業員が忙しい朝でも簡単に摂ることができるようにします。

朝食を摂る時間がない従業員や外出先での朝食需要に対応するため、朝食弁当の提供を検討します。
栄養バランスの良い朝食メニューを詰めた弁当を用意し、従業員が持ち帰って食べることができるようにします。

食生活を改善することで従業員が得られる3つのメリット

食生活の改善は、企業やそこで働く従業員に多くのメリットをもたらします。

生産性の向上

健康的な食事は身体の健康をサポートし、生産性の向上につながります。
バランスの取れた食事によって必要な栄養素を摂取し、免疫力やエネルギーが向上します。
健康な身体は病気や体調不良のリスクを減らし、従業員が仕事に集中し、業務を効率的にこなすことができるようになります。

体調の改善

栄養バランスの整った食事は、疲れをとることができ、免疫力アップにも役立ちます。

他にも貧血や虫歯・歯周病など日々の不調改善に役立ちます。

また、食事の改善はストレス軽減とメンタルヘルスの向上にも効果的です。
栄養豊富な食事はストレスへの抵抗力を高め、ストレスによる不安やうつ症状の軽減につながります。

生活習慣病の予防につながる

健康診断の中でも血液検査は、脂質異常症や糖尿病など生活習慣病の指標となります。
どちらも食生活の乱れが原因とされていて、対策として食生活改善が挙げられています。

他にも、食生活が乱れて起こる生活習慣病として、肥満、高尿酸血症、大腸癌、循環器病などが明らかになっています。

食事を見直していくことで、疾病率が下がり、医療費の削減につながります。
また、健康な従業員が増えることで欠勤や長期休業者数の低下も期待できます。

まとめ

健康的な食生活を実践するために管理栄養士が介入することで、従業員の健康意識を向上することができます。
それにより、仕事の効率化、生産アップにつながります。
不調が生まれたから対策するのではなく、うまれるまえに対策することで、従業員の健康を守ります。