介護施設は、高齢者や障がい者などの介護が必要な人々に対して、住居やサービスを提供する施設のことを指し、個人の自宅での生活が困難な場合や、家族や地域のサポートだけでは十分なケアができない場合に利用されます。
その介護施設で、食のプロである「管理栄養士」がどのように食事管理や栄養指導を行うのか解説していきたいと思います。
目次
介護施設の種類と利用者(入居者)について
介護施設にはさまざまなタイプがあります。
管理栄養士が関わる一般的な介護施設の種類には、特別養護老人ホーム(通称・特養)、介護老人保健施設(通称・老健)、介護付き有料老人ホーム、デイサービス、グループホーム、障がい者施設などが挙げられます。
介護施設の食事ってどんな食事?

必要なエネルギーや栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質)をバランスよく含み、ビタミン、ミネラル、食物繊維も摂取できるように献立作成・食事提供をしています。
利用者(入居者)自身が自宅にいる感覚を持っていただけるような、和食を中心とした家庭的なメニューを中心に献立を組み立てている介護施設が多い傾向にあります。
また、季節に応じた旬や、行事を取り入れたメニューや、異なる食材や料理法を取り入れることで、食事に楽しみや彩りを添え、飽きが来ないように工夫をしています。
管理栄養士の食事管理
管理栄養士は、介護施設において食事や栄養に関する専門知識を提供し、利用者(入居者)の健康をサポートする役割を担います。
具体的な食事管理の方法は、以下のような流れとなっています。
その① 食事内容の調整
利用者(入居者)の個々の健康状態や摂食・嚥下(えんげ)機能、身体測定や食事記録の分析、血液検査などから栄養状態の評価をした上で、食事のエネルギーや栄養素の量、食事形態を調整することがあります。
また、アレルギーや服薬による食物制限、病態による食事制限などの制約がある場合は、それに応じた特別な内容の食事が提供されます。
その② 食事のサポート

必要に応じて、食事の支援や介助が行われます。摂食・嚥下が困難な場合には、食事の形状や食事補助具の使用が検討され、安全かつ適切な摂取が確保されます。
その③ 栄養補助食品の付加
利用者(入居者)の食事摂取量が少なく栄養評価が悪い状態が続いたり、身体に床ずれ(褥瘡…じょくそう)ができてしまったりする場合、栄養補助食品の付加が必要になることがあります。
その際は、食欲が落ちた利用者(入居者)でも食べやすい、フルーツ味やミルク味などの飲み物やゼリータイプの栄養補助食品を選んで提供します。
介護施設でどんな栄養指導をするの?
管理栄養士は、利用者(入居者)の健康状態や栄養状態の変化に応じて、看護師や介護スタッフと相談しながら、食事内容の調整や改善の提案を行います。
例えば、身長と体重から算出したBMI、血圧・血糖値・アルブミン値などを標準値に近づけるため、食事の調整や特定の栄養素や塩分の増減、食事の摂取状況や摂食・嚥下状態など目標を設定します。
利用者(入居者)が病院や他の介護施設、自宅に転所・退所する際は、利用者(入居者)の家族や転所先に対して、食品の形態や選び方や調理法、食事のタイミング、食事環境などについてアドバイスを行い、健康で安全な食事習慣や食事の満足度の向上をサポートします。
まとめ

介護施設の管理栄養士は、利用者(入居者)の個々のニーズに合わせた食事の提供を行いながら、健康状態の管理や予防に役立つ食事のサポートを提供します。
栄養指導というよりも、食事提供を通した栄養管理に重きを置いています。
利用者(入居者)が認知症などで意思の疎通を図ることができないことも多く、利用者(入居者)本人に指導するよりも、家族や介助に関わる方に向けて指導する場面が多いでしょう。
利用者が日常を健やかに楽しく過ごすためには、管理栄養士の視点だけではなく、利用者(入居者)の家族の情報が必要不可欠で、医師・看護師・介護スタッフ・リハビリスタッフとの多職種連携が一番の要だと考えます。
