健康経営優良法人認定を受ける「株式会社オーエス」で、企業の健康増進を進めるべく、健康経営に日々取り組む、人事担当の河田さんに今回お話を聞いてみました。
はじめに
私たち「えいようJoin」は管理栄養士の知見や技術を活用した質の高い健康コンテンツの制作を得意としているマーケティング支援集団です。実はその他にも同部署内で、全国23万件以上の美容サロン情報が掲載されているWebメディア「Beauty Park(ビューティーパーク)」の運営や美容サロン集客サービスも行っています。私たちは、これらのサービスを通して、全ての人々に「美と健康」を届けることを理念に掲げています。
私たちは、この理念のイメージにそぐう健康的な環境で働いています。私たちが所属している株式会社オーエスは、健康経営優良法人認定を有しており、このような健康経営を基盤とした企業つくりに尽力している人事担当の河田さんに、その想いを聞いてみました。
インタビュー
手嶋 初めに、WHOの定める健康(①肉体的②精神的③社会的)について、河田さんの考えをお聞かせください。
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」
河田 最初は健康と聞くと身体の健康のことばかりを考えていましたが、健康経営に携わるようになり、また自身が妊娠・出産の経験をする中で、心の健康という意識が芽生えました。今では心と身体はリンクしていて、どちらが欠けても本当の意味での健康は成り立たないと考えています。
社会的健康っていうのは、少し難しくて…
私が思うに、その人の幸福感みたいなことだと思っています。
私自身、産休・育休中に社会からの疎外感を感じた時期があって…。
その時のことを振り返ると社会との関わりがなかったことや、自分の存在意義を見出すために承認欲求を満たしたり、他者からの評価を受けたりすることがなかったからだと思います。
やっぱり一人で生きているわけじゃないので、人からも大切にされたいし、自分も周りの人を大切にしたい。そう思えることが社会的健康だと私は考えています。
また、仕事で感じる幸せって、職場の安心感や、給与面、やりたいことができるなど、人それぞれ違うと思っていて、会社としてその幸せを実現できる環境を整えることが大切だと思っています。
手嶋 私も社会的な健康って難しいな…と思っていたのですが、そういった考えがあることを聞けてとても参考になりましたし、考えさせられました。ありがとうございます。
つづいて、株式会社オーエス(以後省略:オーエス)の健康経営における理念や考えについてお聞かせください。
河田 オーエスは『全従業員全員経営』…つまり、従業員一人ひとりが自ら考え、行動し、経営や仕事に積極的に参加することで、会社をより良くしていくという企業理念があります。
健康経営についても、一人ひとりが自分の心と体の健康に向き合い、意識し、健康を保つことで、持っている力を最大限に発揮できると考えていますし、それが生産性の向上につながり、会社のさらなる成長に繋げられると思っています。
手嶋 企業理念に沿った良い健康経営の考え方で、とても興味深いですね。
それでは、具体的に取り組んでいることを教えてください。
河田 会社として当たり前なんですけど、健康診断を年一回実施しています。その他に身体の健康の面で取り組んでいることとしては、健康意識アンケートの実施と年度毎の比較、健康だよりの配信、禁煙率向上の呼びかけ運動、花粉症プログラムの実施などがあります。
また心の健康の面では、ストレスチェックの実施、ハラスメント窓口の設置、定期的な面談の実施(上長、代表、人事)、こころの健康づくりパンフレットで周知するなどを実施してきました。
手嶋 色々していますね。それに珍しいものが多いように感じますが、そのような取り組みはどのように着想しているんですか。
河田 毎月開かれる衛生委員会というものから情報を得て、従業員に共有していました。
情報を探すのではなく、情報が入ってくる環境にすることで、新たな情報を入手しています。
先ほども話したことですが、健康は身体の健康だけでなく、心の健康も大切で、身体と心がリンクしていると思うので、どちらが欠けてもコンディションは最高にはならないと思っています。
そこで取り組んだのが、現代病である花粉症プログラムです。花粉症は多くの人がかかっているものの、人それぞれ症状が違います。それをみんなが理解し合うことで心の健康を保てると思いますし、正しい対処法を知ることで身体の健康を保つことができます。健康経営を推進するうえで、有益な取り組みのひとつになったと思います。
手嶋 私も花粉症なので、とても共感します。
日本のストレス社会の原因の多くは労働環境にあると、よく耳にすると思うのですが、その点に関して何か対策はしていますか。
河田 労働環境の改善ももちろん取り組んできました。
まず定時退社デーを設けるなどをして、時間の意識を徹底しました。その後、時間内にやるべき業務を終わらせられるよう、タスク管理の意識を身に着けられるようにしました。
また、職場での多くの悩みは人間関係にあると思っているので、良い人間関係を保てるよう、コミュニケーションの取りやすい職場を目指しています。
本来悩まなくてもよいことで悩むのではなく、悩むべきもので悩める時間を作れることが労働環境の改善だと思っています。
実際にその功績として、ストレスチェックの結果がストレスフリーカンパニーと表彰され、「今までの積み重ねが実を結んだな」と実感できました。
手嶋 そんな賞があったことも、オーエスが獲っていたことも知りませんでした(笑)
表彰されるほど、様々な改革に着手し、実施し続けてきたと思いますが、実際に健康経営を通して会社や従業員が得られたメリットとは何でしょうか。
河田 オーエスでは健康診断や予防接種の促進、ストレスチェックなど、心と身体の2方向から対策をしていますが、平均年齢が32.3歳と若い企業ということもあり、心身ともにご自身の健康意識が低い方がまだまだ多いのも実状です。そこで私は「今日が一番若い日」という言葉を胸に、従業員の意識改革に取り組んでいます。
健康診断も、基本健診だけではわからない、実際に体調を崩してからじゃないと気付かない病気も多いと思いますし、喫煙においても、本数を減らすなど、今日から少しずつはじめるなどの意識を高めてほしいと感じています。このような葛藤を日々しながらも、足を止めずに進んできました。
私は健康経営そのものがメリットのように感じますが、特に反響があったものですと、
花粉症プログラムやストレスチェック、面談制度の実施が良い例だと思っています。
花粉症プログラムは、体調不良がもたらす損失を数値化し、具体的な課題として事前予防の案内などを実施することで、業務効率化が可能となりました。また、多くの方が悩まれる花粉症に対する情報を家庭内でも共有できることで、共通のテーマとして家庭内外のコミュニケーションツールとしても有効的でした。
心の健康として、ストレスチェックの導入や役員に対する「こころの健康づくり研修」などでのメンタルヘルスケアの早期対応、離職防止に努めています。その他にも、面談制度の最適化や職場コミュニケーションには気を付けています。従業員は常々業務の悩みを一定数抱えていると思うので、2ヶ月毎の直属の上長との面談で早期にアラートに気付き、業務の最適化を図っています。また体調の悪い時に無理して働くのではなく、休みを取ってもらうことで心身ともにメリハリをつけて生産性の向上を図っています。これらのことは、甘えではなく、最悪の事態が起こる前のリスク回避になると考えていて、生産性の向上や業務改善以外にも、離職防止につながっていると感じていますし、従業員だけではなく企業側にとってもメリットになると思っています。
手嶋 色々なメリットがあるんですね。実際にオーエスに身を置く側として、私自身も「とても働きやすい職場だな」と思っています。また、「こういった会社がもっと日本に増え、日本企業やそこに勤める従業員がもっと活性化したらいいな」とも思っているんですけど、最後に…そんな日本企業で、これから健康経営に取り組みたい方に向けてメッセージをお願いします!
河田 まずはじめに、「取り組みに対してのハードルは高くない!」とお伝えしたいです。
健康経営って聞くと、小難しい感じや会社全体としてやらないといけない感があると思いますが、原点はとてもシンプルな想いで成り立っていると思っています。
従業員の方、いわゆる一緒に働く仲間の心と身体の健康を気に掛けること。
家族や友人が体調を崩すと、心配しますよね? 普段から体調を崩さないように気にかけたりしますよね? それと一緒かなと私は思っています。
お互い気遣い合い、敬い合うことで、チームワークやコミュニケーションが自然と生まれ、育まれます。
いきいきと働く仲間のもとには同じ種の仲間も集います。
「みんなが健やかに楽しく働ける」そんな会社がいいなと私は考えていますし、最終的にはそれが会社のためになっていくと思うので、まずは仲間を想う気持ちからはじめてみたらよいと思います。
お話を伺った人
河田 真弓さん
高専の電子制御工学課を卒業後、地元富山で新卒入社。主に機械組立や、電機配線業務に約7年間従事。
人生一度きりと思い、東京に上京し、システム開発会社の営業に転職。未経験の業界・職種ながらもモバイルサイト/ソーシャルゲーム/アプリ開発/システム開発など、20社以上を担当。
今後のライフプランを考え再度転職を検討し、その際に女性の働き方に共感した株式会社オーエスに入社。現在に至るまで約9年間勤務。
現在は管理本部人事グループに所属し、人事/広報/総務など業務は多岐に渡る。短時間勤務ながらも、日々体当たりで勉強しながら幅広い業務に挑戦中。