美容業界は華やかなイメージと裏腹にとても大変な仕事です。そのため全体的に定着率が悪く、辞めたいと思ったこと、あるいは辞めたいと相談された経験がある人は少なくないのではないでしょうか。退職する人が出れば、他の人を雇う必要があるため採用や教育にかかるコストが増えてしまいますし、できれば長く働いてもらいたいですよね。そこで離職率を下げる方法をまとめたので、オーナーや役職持ちの方はぜひ読んでみてください。

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離職率と退職理由

一番大切なのは離職率が高いか低いかではありません。重要なのはどんな理由で辞めるのかです。たとえば家庭の事情であればやむを得ないものですし、夢を叶えるために新しい世界に飛び込むというならば応援すべきことですよね。こういった理由であれば離職率が多少高くても大丈夫です。しかし退職理由がネガティブなもの、つまり会社や仕事が嫌で辞めるのであれば早急に策を講じる必要があります。

ここでリクナビNEXTが行ったアンケート調査の結果を見てみましょう。転職経験がある100人に退職を決めた理由を聞いたものです。回答者の業種は美容業界に限りませんが、労働者という点では同じですからサロンで働くスタッフにも通じるものはあると思います。

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)

引用元:リクナビNEXT「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」

実に半分以上が人間関係によるものです。しかもポジティブな理由のものは「キャリアアップしたかった」の回答しかありません。

あなたのサロンはどうですか?退職していくスタッフたちはどのような理由で辞めていくのでしょう?また、なかなか第三者が踏み込みづらい家庭の事情と言って辞めた場合でも、それは建前で実際のところは違うかもしれません。もしあなたのサロンの離職率が高いのならば、今一度本当の退職理由を考えてみてください。

退職理由から考える離職対策

それでは主な退職理由が分かったところで、それぞれの退職理由ごとに離職を防ぐための対策をしていきましょう。回答が10%を超えたものを対象に対策を提案していきます。そもそも「辞めたい」と言われないような環境にできるよう、自分のサロンで取り組めることはないか考えてみてください。

上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった場合

「自分は大したことをしないで他人にばかり仕事を押し付ける」、「明らかに無茶な要求をする」、「失敗したら頭ごなしにただただ叱責する」、「部下のミスをフォローしない」など、悪いお手本のような上司や経営者は少なからずいるものです。このような人についていったとして、明るい未来は描けませんよね。離職率が上がるのは当然です。

しかし、これを改善するにはなかなか根気がいることでしょう。いい年をした大人が性格や人となりを変えるのは難しいからです。しかも、こういった上司や経営者の多くは、自らが悪いと自覚していることがあまりありません。あなたは本当に良い上司だと胸を張って言えますか?

もしかしたらあなたが気づかないところで不満を持たれているかもしれません……。ですから、まずは匿名の社内アンケートを定期的に実施すると良いでしょう。これは他の問題を洗い出したり解決したりする手段にもなり得ます。

アンケートを実施するにあたって手書きで回答するタイプだと、筆跡で分かってしまうかもしれないと当たり障りのないことを書く人が出てくるかもしれません。人数が多くなれば集計するのも大変になりますし、インターネット上でのアンケートをオススメします。

「アンケートなんて作ったことない!」、「やり方が分からない」という方もいるでしょう。よって、誰でも簡単にアンケート作成ができる無料ツールをご紹介します。それは「Googleフォーム」です!Googleアカウントさえあれば誰でも簡単に作れます!機能がシンプルで最初に説明もありますから、初心者でも使いやすい便利なツールです。これさえ使えればお客様アンケートの幅だって広がります。

とはいえ、インターネットを介したものだと個人情報が筒抜けになりそうで回答しづらい方もいるでしょう。しかしGoogleフォームの場合は作成者が求めない限り、個人情報を渡す必要はありません。

具体的に言うと「回答必須の質問で個人情報を要求しない」、「ログインなしでも回答できるようにする」の2点を守れば大丈夫です。Googleフォームの設定欄から自由に変更できるのですが、初期設定では匿名で回答できる仕様になっているのでそのまま使ってもらえればと思います。

早速使ってみたいという方はこちらのリンクGoogle フォーム – アンケートを作成、分析できる無料サービスからどうぞ。

労働時間・環境が不満だった場合

世間では働き方改革などと謳われていますが、サロンでもこの流れは必要です。全体的な最近の傾向として「仕事はお金を稼ぐ手段」と捉える人が増えてきました。そういう人にとってやりがいや会社への帰属意識は二の次です。

家族とのプライベートな時間や趣味のためにお金が必要。だから働くというわけです。つまり、大切なプライベート時間が確保できないほど働かなければいけない職場には何の魅力もないということ。簡単に転職を決めるでしょう。

この状況を改善するためにできる対策は2つ。帰りやすい環境をつくること業務の効率化です。

帰りやすい環境をつくるには、まず上の人間が率先して帰ることが重要になります。上司が残業をしていたら下の者は帰りにくいからです。そして帰る時には「あまり遅くならないようにしてくださいね」、「早めに帰りなさい」などと言って早く帰るように促してあげると良いでしょう。可能であれば一緒に帰ろうと声がけするのが一番です。

美容サロンで居残りをする大きな理由は練習のためだと思います。しかし、一日中働いた後に練習をするのは体力的にも精神的にも厳しいでしょうし、長時間残ったところで効率良く練習できているとは言えません。居残り練習や残業は人によっては確かに必要なものだと思いますが、限度の時間を決めておくと良いと思います。

新しい設備を導入して業務の効率化を図ったり、社員の働き方を見直して制度を整えたりすることは国からの補助金や助成金の対象にもなります。これらは原則、返還不要=給付されるものです。サロンとしては離職率が下がったり売り上げ業績が向上したりするだけでなく、お金までもらえて嬉しいことばかりですね!

助成金については経営者は情報を待つだけ!助成金・補助金情報を効率的に収集する方法で詳しく説明しているので、まだ読んでいない方はぜひ目を通してみてください。

同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった場合

社内関係を良好に保つのは、働きやすい環境づくりや成果を最大限に上げるうえで大切なことです。積極的に社内コミュニケーションを取り、意思疎通が図りやすい雰囲気をつくりましょう。

ですが、それでもお互い人間ですから、対人関係で何かしらのトラブルが起きてしまうことも考えられます。そうなった時に一人で抱え込んで辞めてしまわないよう、あなたと相談しやすい状況をつくることが大切です。実際に弊社では管理職以上の役員が定期的に社員面談を行っています。

これによって業務改善が見込めるだけでなく、他のスタッフがいる前で叱責・罵倒された、女性同士のいざこざに巻き込まれたなど、人間関係でトラブルが起きた時にも問題を見つけやすくなるので、いち早く解決に向けて対処できるのです。

また、これは業種を問わずすべてに共通して言えることですが、仕事をするうえで情報の共有は非常に重要です。相談内容を全部伝える必要はありませんが、要点をかいつまんで周りに共有するように心がけましょう。そうすることでこの先同様のトラブルが起きるリスクを減らせますし、あなた以外の人も対処できるようになります。

給与が低かった場合

業種や会社にもよりますが、美容系サロンを始めとする接客業は低賃金であることが多いです。というのも接客業はサービス業の一種であり、提供するものが無形サービスである場合がほとんどだからです。つまり、サービス内容や他との違いがお客様にとって分かりづらく、価値を感じてもらいにくい=価格を上げにくいという問題が出てきます。

そのため売り上げを伸ばすにはさまざまな工夫が必要になりますが、これができていないと業績が上がらず給料を上げることも叶いません。したがって、まずは売り上げを伸ばすための取り組みを始めることが肝要です。その方法については過去コラムでいろいろな方面から提案しているので、ぜひ今一度読んでいただけたらと思います。

そして、多くのサロンでは歩合やインセンティブ制度を導入していると思いますが、それを含めた給与体系は果たして適切なものでしょうか?固定給が低くても歩合やインセンティブによってある程度給与が増すのなら問題ありませんが、固定給が低いうえに歩合やインセンティブの条件が厳しいのであれば改善する必要があるでしょう。

無理なノルマや高すぎる目標は「できるわけがない」と諦念を抱かせてしまい、普段のパフォーマンスの精度も落ちてしまう恐れがあるからです。自発的に意欲を持って仕事に取り組めるよう、段階的な目標設定をして給与を決めるのが良いと思います。

また、美容系サロンではあまり見られませんが、退職金制度を設けるのも効果的な手段でしょう。勤続年数に応じた退職金を設定すれば、多少給与が低くても退職金のために離職を思いとどまる人は多いはずです。新しい環境で一から人間関係を築いたり、独自のルールを覚えたりする手間暇も鑑みると、よほどの悪条件でない限りは今のサロンで働き続けたほうが良いと考えるのではないでしょうか。

辞めたいと相談された時の正しい対応

さて、ここまでは離職を防ぐための対策について述べてきました。ここからは、それでも辞めたいと言うスタッフが出てきた時にどう対応すべきかについてお教えします。

もしかしたら今まさに辞める相談を受けていて、どうしたらいいのか分からないという人もいるかもしれませんね。そんな時はまず落ち着いて、書いてあることを一つ一つ意識しながら相談に向き合ってあげてください。

①共感すること

辞めたいという相談は、相談者にとっても非常に勇気のいることです。重たい話や悩みを打ち明けることに不安を感じる人も多いでしょう。そんな状況で自分の考えや決断を否定されたり、他人事のように受け止められたりしたらどう思うでしょうか?きっと、辞めたいという気持ちが強くなってしまいます。ですからまずは相手に寄り添うことを第一に話をしてあげてください。

また、相手の言った言葉に対してすぐ自分の考えを述べるのではなく、相手の言葉を一旦引き取ることが大切になります。たとえば「辞めたい」と言われた時に「そうですか、辞めたいと思っているのですね」などと相手の言葉を使って(真似して)返すというわけです。

これは心理学におけるミラーリングという手法で、「この人は私の話を真剣に聞いてくれている」と思わせて信頼や好感を生む効果があります。相手の言葉を繰り返すことで、当然共感することにもなるのでぜひ積極的に使っていきましょう。

②何かあったのか尋ねる

辞めたいと思った理由は気になるところでしょうが、ただでさえ勇気を振り絞って言ってくれた相手に「なぜだ?」と聞くのは酷なことです。言い方にもよるでしょうが、責められ、問いただされているように感じてしまいます。ですから、まずは「何かありましたか?」と尋ねたほうが相手も話しやすいでしょう。

どちらの聞き方でも結局は理由を尋ねることになるのですが、相手の心理的負担を考えると後者の方が正直に打ち明けやすいです。

③真剣さ、誠意を見せる

聞く時もただ受け身になって聞くのはよくありません。これはどんな時にも当てはまりますが、積極的な傾聴力が必要です。真剣に聞いていることを表すために相手の顔をしっかりと見て頷き、時にはミラーリング(オウム返し)も使いましょう。

相手が話し終えてからは、まず話してくれたことにお礼を言うこと。そして社内に離職したい理由がある場合には、気がつかなかったことに対して謝ること。この二点を怠らないようにしてください。こうして誠意を見せることによって相手に安心感を与えることができますし、少なくとも「この人に相談しなければ良かった」と思われることはないでしょう。

④改善の姿勢を見せる

家庭の事情や自己実現のための離職理由でない限り、社内に離職理由があるということです。その場合は改善の姿勢を必ず見せましょう。サロンのルールを変えるなど、大きなことができない場合であっても個人レベルで改善できることは必ずあるはずです。

上に立つ者として自ら変わり行動していく姿勢を示せば、それが信頼に繋がります。内容によっては離職を考え直す大きなきっかけにもなるでしょう。相談を意味あるものにするためにも、何かしら改善できることを考えてください。

働きがいのあるサロンづくりのために

サロンワークは大変なことも多いですが、お客様と直に接することができるうえ、個人の技術がものを言う世界であるため、やりがいや充実感を味わえる場面も少なくないと思います。それを最大限感じられて最高の成果を上げられるように働きやすい環境を整えることはオーナーとしての大切な務めです。

「このサロンでずっと働きたい!」、「この人と一緒に仕事ができて良かった!」と思ってもらえる働きがいのあるサロンを目指して頑張ってください。ビューティーパークカレッジは、そんなサロンオーナーの皆さんの一助となれるよう、コラムの配信やセミナーの開催などを通じて今後ともサポートしていきます。