最近の子ども服は大人の服に負けないくらいおしゃれですよね。実際、子ども向けのファッション雑誌がいくつも出ています。子どものファッションに関心が高まっているということは、洋服だけでなくヘアスタイルにも気を配る親御さんが増えているということです。つまり、キッズカットが得意な美容室の需要が高まっていることを意味します。このコラムでは、親子連れのお客様に来店してもらうためのアプローチ方法をお伝えします。
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目次
最近のキッズカット事情!美容室デビューはいつ?
子どもが小さいうちは自宅でセルフカットをするというご家庭も多いですが、基本的には子どもの成長に合わせて美容室にお願いするようになります。では、最近の子どもは何歳で美容室に通い始めるのでしょうか。2017年にベネッセが行ったアンケートの結果は以下の通りでした。
1位 3歳 834人(14.3%)
2位 2歳 671人(11.5%)
3位 1歳 607人(10.4%)
引用:たまひよ「子どものヘアカットはまだセルフ?0歳〜うちの子の[美容院デビュー]まとめ」
自我が芽生え、動きもより活発になってくる3歳から美容室デビューする子どもが一番多いですね。2位、3位には2歳と1歳がランクイン。小さいからこそカットが難しい、万が一にも傷つけてしまったら大変、という思いもあるのでしょう。意外とかなり早いうちから美容室に通い始めるケースが多いようです。
生まれつき髪の毛の量が多かったり、伸びるのが早かったりする場合は1歳未満でデビューすることも。一方、小学校に入学してから美容室デビューする子どもは8.4%。早くから美容室を利用する子どものほうが多数派ですが、ある程度大きくなってから通い始める子どもも一定数いるようです。
参考:たまひよ「子どものヘアカットはまだセルフ?0歳〜うちの子の[美容院デビュー]まとめ」
お子様歓迎のサロンをつくるために知っておくべき10のポイント
小さいうちから美容室に通わせたい親御さんが多いことから、子ども向けの美容室のニーズは高いことが分かります。したがってここからは、親御さんが安心でき、子どもが喜ぶサロンづくりについてご紹介していきます。
①子ども用のセット椅子を用意
大人とは体格があまりにも違うので、子ども用のスタイリングチェアは必須です。できることなら幼児向けに車の形をした椅子を用意しておくと、楽しみながら施術を受けてもらえます。窓際や出入口の近くに設置すれば外からも見えるので、来店のきっかけにもなるでしょう。
また、ある程度大きくなった子どもでも施術を受けられるように、子ども用の補助椅子も用意しておくと良いですね。
②落ち着かせるために専用ルームを設ける
お子様連れのお客様ばかり来店されるサロンなら良いのですが、他の客層のお客様もいらっしゃるとなると空間を分けたほうが良いかもしれません。人目を気にせずに過ごせたほうが親御さんも気に病まずに済みます。美容室だと落ち着かない、泣いてしまう、という子どもも多いですが、それはサロンならではの独特の雰囲気や他の人の目も関係しているのかもしれません。
専用ルームを設けて子どもが喜ぶポップな雰囲気にしたり、自宅のようにアットホームな雰囲気にしたりすると、気持ちよく過ごしてもらえるのでカットもしやすくなるでしょう。
③ハサミを見せない
ある程度成長した子どもなら大丈夫ですが、小さいうちは刃物類を怖がる子もいます。不用意に怖がらせないために、ハサミはなるべく見えないように工夫してカットしましょう。とはいえ、普通は施術台の前に大きな鏡があるので、鏡越しに見えてしまう可能性は高いです。そのため、子ども用のカット台の鏡は布やポスターで覆うなど、子どもによっては施術中に隠しておくと良いですね。
④DVDを見せて画面に集中させる
キッズカットで一番苦労するのが子どもをじっと大人しくさせること。子どもは好奇心旺盛なのであちこちに目が行きがちですし、話す時などは体をいっぱいに使って表現しようとします。しかも子どもは急に動くことが多いので、下手をすると切りすぎてしまったりケガをさせてしまったりするかもしれません。
そこで活躍するのがDVDです。おもちゃでも良いのですが、振り回したり口に入れたりする可能性もあるので、安全面を考慮するとDVDが適切でしょう。DVDなら年齢に合わせて見せるものを変えられますし、じっと見入っている間にカットができます。可能であれば保護者と相談して、YouTubeを見せるのも良いでしょう。
⑤子ども専用のカットクロスを工夫する
可愛い動物や人気のアニメキャラなどがプリントされているカットクロスを使うのも、子ども達を楽しませる一つの手段です。プリントされた動物やキャラクターを登場人物にしたお話を組み立てて、読み聞かせのように話してあげると興味を持ってじっと聞いてくれます。
また、椅子に一人で座るのが難しい赤ちゃんや、親御さんと離れると泣いてしまう子などは、保護者の方に抱っこしてもらいながらの施術になります。しかし、通常のカットクロスを使用すると、表面がつるつると滑って危険です。そのため、親子で一緒に着けられるカットクロスを導入することをおすすめします。
⑥幼い子どもでも泣かないシャンプーの工夫
乳幼児のうちはシャンプーが嫌いな子どもが多いですよね。顔に水がかかるだけで大泣きしてしまう子もいます。もちろん、美容室で顔に水がかかることはありませんが、シャンプーするというだけで恐怖心を抱く子どもはいるでしょう。ですから、シャンプーする際はキャラクターもののハンカチやミニタオルを渡して、自分で目に当ててもらってください。
そうすると落ち着くのかおとなしくシャンプーさせてくれます。しかし、一番の難関ポイントはシャワーで洗い流す時です。この時は手遊び歌でも即興で作った歌でも良いので、明るい歌を歌いながら流すと「怖くない、楽しい時間なんだ」と認識してくれます。
とはいえ、中には最初からどうしても嫌だと泣いてしまう子もいるでしょう。そういう場合は無理にシャンプーしようとせず、ドライカットのみで済ませてあげてください。
⑦お姫様、ヒーロー扱いをする
小さな子どもに接客するうえで大切なのは、美容室を楽しい場所だと思ってもらうことです。そのためには、ただ優しく接するだけではいけません。日常とは違うわくわく感を演出する必要があるからです。その点、お姫様やヒーローのように扱われることはあまりないですし、アニメや絵本などの影響で憧れる子どもも多いので喜ばれます。
しかし、必ずしも女の子ならお姫様、男の子ならヒーローに憧れるわけではありません。そのため、できれば事前に何のアニメやキャラクターが好きか、親御さんに聞いておくと良いですね。
⑧頑張ったごほうびをあげる
病院やクリニックでは、診察が終わった後にちょっとしたお菓子やおもちゃがもらえるところがあります。それと同じように、施術後の時間(親御さんがお会計をしている間など)に何かごほうびを渡すと良いですね。美容室でこのような子ども向けのサービスを行っているところはほとんどないので、親御さんにも喜ばれるでしょう。
この時、気をつけなければならないことが2つあります。まず、お菓子やジュースなどの場合はアレルギーがあるかもしれないので、必ず親御さんに確認してもらってください。それから、お菓子やおもちゃは年齢制限がある場合があるので、買う時は対象年齢をよく見て購入しましょう。渡す時に間違いがないように、ある程度年齢を区切ってそれぞれ入れ物を用意し、その中に保管しておくとなお良いですね。
⑨美容室デビューを記念日として演出
美容室デビューは子どもにとってもドキドキですが、親御さんにとっても一大イベントです。「泣かないかな?」という不安や「おとなしく施術を受けている!」という驚き、何よりプロの手によってさらに可愛くなった我が子への感動。特に生まれて初めて髪を切る場合は、切った髪にさえも愛着を覚える親御さんも少なくありません。
そこで、ファーストカットの記念品をサロンで扱うのはいかがでしょうか。最近はファーストカットで切った髪を筆にして残す「胎毛筆」(赤ちゃん筆とも)やアクリル板に髪を挟み込むメモリアルフレーム、水晶の中に髪を閉じ込めたベビークリスタルなどがあります。このようなサービスを提供している会社と提携し、カットした髪の毛を記念品として残せば、親子ともに大切な宝物になるでしょう。
また、ファーストカットの瞬間や美容室デビューの日を写真や動画にして残したいというご家庭もあります。他のお客様は写さないという条件で撮影OKにすれば、多くの親御さんに喜ばれるでしょう。場合によってはスタッフのほうからお声がけして、親子で一緒の写真を撮ってあげるのも良いですね。
⑩売上にもつながる家族割引を用意する
キッズカットは大人のカット料金よりも安いですが、自宅でセルフカットをすれば無料で済みますし、近年は1,000円カットの理容室・美容室があちこちに増えたので、子どもの髪にそこまでお金をかけたくないというのが親御さんの本音でしょう。ですがサロン側としても、元が安い子どものカットをさらにクーポン等で割り引くのは厳しいですよね。
それなら子どものカット料からではなく大人のほうを割り引いてはいかがでしょうか。親御さんも一緒に施術を受ければ〇%オフ、というように家族割引を設ければ一緒に予約をしてくれる方もいるでしょう。小さい子どもを連れてくる以上、大多数の方は近所に住んでいるはずなので、通いやすさの面からもサロン替えをしてくれるかもしれません。
お子様歓迎サロン5選
上記では小さな子どもを受け入れるための取り組みをお伝えしました。ここからは、お子様歓迎サロンとして成功している美容室を5つピックアップしたので、一つずつご紹介していきます。それぞれが独自の工夫を凝らしているので参考になることも多いはずです。取り入れられそうなものはぜひ積極的に取り入れてください。
hearty MOTOYAWATA(ハーティー モトヤワタ)
関東を中心に20店舗以上を展開するヴィサージュグループ。その一つであり、お子様連れのお客様に大人気の美容室がhearty MOTOYAWATAです。
2つの階にまたがる店内はフロアごとにガラッと雰囲気が変わります。上のフロアはファミリー仕様になっており、子どもに大人気の車の形をしたスタイリングチェアを設置。その隣には通常のスタイリングチェアがあるので、親子で並んで施術を受けることができます。
場合によっては親御さんの施術が長引くことも有り得ますが、託児所付きのうえ、保育士に預けることができるので施術中も安心です。ちなみに保育士がいるサロンは、お子様連れのママさんが行きたいサロンランキング1位になっています。ランキングの詳細は「今後のターゲットは親子連れ?!ママが気軽に来店できるサロン作り」をご覧ください。
また、通常のフロアを2階、ファミリーフロアを3階にしているため、多少子どもの声が大きかったとしても下の階までは響きにくく、一般のお客様もくつろいで過ごすことができます。すべてのお客様がリラックスできるよう、よく考えられた仕様の美容室です。
mahalo hair design(マハロ ヘアーデザイン)
住宅街のただ中にあるmahalo hair designは、地域住民に愛されるこじんまりした美容室です。内装はオーナーが自ら手掛けており、アットホームでおしゃれな雰囲気。
ここのイチオシは毎週水曜日の「キッズデー」。小学生以下のキッズカットが、なんとほぼ半額になるのです!休日に来店されるお客様は多いですが、席数が4席と限られているので、客足を分散させようという狙いもあるのでしょう。しかも平日であれば子どもの年齢によって来店時間が変わるので、予約が被りづらくなります。午前中からお昼過ぎは乳幼児、15時過ぎ頃に幼稚園児、夕方以降に小学生という具合です。小さな美容室ならではの賢い営業方法ですね。
STUDIO BOOMS(スタジオ ブームス)
滋賀県最大のショッピング&アミューズメントパークである「ビバシティ彦根」の一角に構えるSTUDIO BOOMSは、世代や性別を問わず幅広い層のお客様が訪れるサロンです。もちろんキッズメニューもあります。
大型の商業施設はファミリーで行く人が多く、食事や買い物、遊びなどをすべて一か所で済ませられるからか、平日でも大勢の人で賑わっています。だからといって集客が楽なのかというとそうでもありません。美容室やマッサージなどのサービスを利用するお客様はかなり少数派だからです。そこでSTUDIO BOOMSが目をつけたのがファミリー層でした。
小さな子どもを連れてくるご家庭はたいてい「子どもを楽しませたい」、「子どもが遊んでいる間に自分の時間を取りたい」という2つの目的のいずれか、または両方を持っています。子どもでも楽しく過ごせるサロンをつくれば、ファミリー層に有効なアプローチができるのです。
ショッピングモール内に併設している美容室は、子ども向けのサロンづくりを意識するとSTUDIO BOOMSのようにアワード*入りするのも夢ではないかもしれません……!
(*一年間で最も人気のあったサロンを表彰するビューティーパークベストサロンアワード)
美容室C’est la vie(セラビ)
一見するとカフェのように見えるおしゃれなログハウス風のサロン。それが美容室セラビです。サロンの内装も木目調で統一されており、落ち着いた雰囲気。女性オーナーが切り盛りするプライベートサロンのため、お子様連れでも気兼ねなく通えます。男性のお客様も多いので、父子でも行きやすいのが特徴です。
また、子どものうちは何かと節目の行事が多いですが、ここでは着付けもできるので七五三や成人式などの特別な日にも利用されています。子どもの成長を共に見守ってくれるサロンです。
お子様連れのお客様をターゲットにするということは、地元住民に長く愛される地域密着型のサロンになるということでもあります。地方のサロンや駅から離れたサロンでは、小さな子ども向けのメニュー展開やサロンづくりに力を入れることが安定した集客を実現するカギなのです。
ヘア&リラックス・ニコ
ヘア&リラックス・ニコは、福島で10年以上愛されるファミリー向け美容室です。来店時にまず驚くのが広々とした駐車場。小さな子どもを連れて電車やで移動するのは大変ですから、車で行けるのはポイントが高いです。また、キッズルームが施術スペースとは別に一部屋あり、親御さんが施術を受けている間は中で遊びながら待つことができます。
違う部屋とはいっても、大きな窓越しに様子を確認できるので安心です。ただし、キッズルームを設ける際は管理を徹底する必要があります。子どもは抵抗力が弱いので、部屋やおもちゃはこまめに掃除・除菌しましょう。不特定多数の子どもが触れたおもちゃを自分の子どもに触らせたくないという親御さんもいるので、細かな配慮が大切です。
充実したキッズルームだけではなく、小学生以下が対象のキッズカットもあるので親子連れのお客様に高い人気を誇っています。加えてキッズカットとは別に、お得な親子ペアカットのクーポンもあり、家計にやさしい子育て応援サロンです。
一定額以上のお会計で、隣に併設されているカフェの無料ドリンク券を配布しているので、家事や育児で休む暇がないママさんにとっては、ホッと一息つける場にもなっています。
子どもに人気のファミリーサロンに
大人のお客様を相手にするのとは勝手が違うので、最初のうちは戸惑うかもしれません。しかし、子ども向けのメニューを展開し、お子様連れのお客様が来やすいサロンになれば、今回のコラムでご紹介したように顧客層の拡大やリピート率向上、経営の安定化などメリットがたくさん得られます。
また、子どものことを一番よく理解しているのは母親なので、子育て経験のあるママ美容師がいれば、小さな子ども相手でもスムーズに仕事ができるでしょう。ママ美容師の雇用に興味のある方は「ママ美容師が仕事と家庭を両立して働くためにサロンでできる取り組み」もぜひご覧ください。
このコラムや他の知識コラムの内容を上手く取り入れて、小さな子どもやそのご家族に利用してもらえる地域No.1サロンを目指してもらえればと思います。