これから梅雨の時期に入りますね。低気圧の日が続き、頭痛持ちにはつらい季節です……。また、夏から秋にかけても台風によって大きく気圧が変化するので頭痛が起こりやすくなります。しかし、あなたの頭痛の原因は気圧だけなのでしょうか?長時間同じ姿勢でいることからくる体のコリや疲労、ストレスなどが大きく関わっているかもしれません。ここでは原因ごとに正しい対処の仕方をご紹介します。もう我慢するのはやめましょう!

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日本人の頭痛事情

埼玉精神神経センター・埼玉国際頭痛センター長の坂井文彦氏によると、日本人の約4人に1人が頭痛持ちだそうです。頭痛を細かく種類分けしていくと、全部で367種類にもなるそうですが、大きく分けると「片頭痛」、「緊張型頭痛」、「群発頭痛」の3つに分類されます。特に片頭痛は女性に集中する傾向にあり、片頭痛に悩む女性は男性に比べて3.6倍もいるそうです。

頭痛は日本の国民病と言っても過言ではありません!しかし、これを軽くあるいは消極的に受け止めている人が多いのが現状です。78.4%の人が痛みに黙って耐えています。そして痛みを我慢し、いつもと同じように振る舞う人が68.3%もいるのです。あなたの近くで何でもないように振る舞っている人も、もしかしたら頭痛に苦しんでいるかもしれません。

あなたはどうですか?このコラムを読んでくださっているという多くの方が頭痛持ちだと思いますが、あなたも黙って我慢していませんか?しかし、頭痛にただ耐えていても良いことはありません。頭痛を我慢することでどんどん状況は悪化していきます。頭痛が起きたら放置せず、早めに対処することが大切です。

参考:mugendai「片頭痛は治る――世界的名医が解き明かす痛みの正体と正しい治療法」
参考:第一三共ヘルスケア株式会社「日本人の「痛み」実態調査」(PDF)
参考:頭痛OnLine「片頭痛と女性との関係」

頭痛を我慢するとどうなる?

日本人の「痛み」実態調査の結果、84.8%の人々が頭痛の対処法について理解できていないことが分かっています。頭痛の種類や鎮痛薬の正しい使い方についてきちんと理解している人はかなり少数です。そもそも頭痛の実態を知らない人が多いため、頭痛が起きても我慢する人が大半なのでしょう。それでは頭痛を我慢することでどのような弊害が起こるのでしょうか。主な弊害を3つご紹介します。

①生産性や能力が落ちる

頭痛が原因で仕事や家事に集中できず、生産性や能力が落ちてしまうと思う人は73.3%にまで達し、頭痛のせいで一日につき平均約2時間半も無駄にしていることが明らかになっています。こうなると自分の時間を失ってしまうだけでなく、周りからの信頼や評価も下がってしまうでしょう。

また、健康な状態であれば問題ない仕事でも、頭痛が原因で思わぬミスを引き起こしてしまう恐れがあります。特に美容師の仕事は、その作業一つひとつが取り返しのつかない重要なものです。些細な不注意が大きなミスや事故に繋がりかねません。お客様からのクレーム・苦情を未然に防ぐためにも、頭痛に正しく対処していくことが必要です。

②自律神経の乱れ

痛みの大小に関わらず、痛みを我慢することは自律神経に悪影響を及ぼします。交感神経と副交感神経のバランスが崩れて血圧変動や脈拍、発汗、消化管の動きに異常をきたしてしまうのです。これは頭痛に限ったことではありませんが、痛みを放置・我慢していても余計に不調を招くことになるので、痛みが生じたらすぐに痛みを緩和することが大切です。

激しい痛みを伴う場合は血管性迷走神経反射を起こす可能性もあります。痛みによって自律神経が乱れ、血圧や心拍数が下がると脳に行く血液の量が少なくなり、激しいめまいや失神が起きる現象です。学生時代、長時間起立しなければならない式などで倒れた生徒はいませんでしたか?その原因は恐らく血管性迷走神経反射です。

これは長時間の立位や激しい痛み、過度のストレスや恐怖心などが引き金となって起こります。ただでさえ美容院での仕事は立ち仕事ばかりです。そのうえ頭痛持ちであれば、普通の人以上に気をつけなければいけません。少しでも異常を感じたら、大事になる前にすぐ休むようにしましょう。

③うつ病になるリスクの増大

頭痛の原因が分からず、行き当たりばったりな対処を繰り返しても頭痛の根本的な解決にはなりません。日常生活や仕事にも支障をきたす頭痛が続くことで、それ自体が大きなストレスとなり、次第にうつ状態になることもあります。うつ病の主な症状は精神的なものですが、身体にも影響する場合があり、うつ病にかかることでさらなる頭痛の原因を増やすことにもなってしまうのです。

参考:第一三共ヘルスケア株式会社「日本人の「痛み」実態調査」(PDF)
参考:一般社団法人日本うつ病センター「頭痛とうつ」

頭痛への正しい対処と普段からできる頭痛対策

ここまでで、頭痛を我慢していても良いことはないことが分かりました。それでは頭痛が起きた場合、どのように対処するのが良いのでしょうか。頭痛の種類と原因ごとに取り得る方法を見ていきましょう。

片頭痛

何の前触れもなく、突然こめかみが痛くなったら片頭痛の可能性が高いです。片方の頭痛と書きますが、両側が痛むこともあります。ズキズキとした強い痛みが特徴です。時には吐き気や嘔吐を伴うこともあります。頭の中の血管が拡張し、神経が圧迫されることが痛みの原因です。

低気圧の時は空気中の酸素濃度が下がるため、より多くの酸素を吸収しようと血管が拡張されやすくなります。強い日差しを浴びた時や運動をした時も体が温まりやすいので血管が広がりやすいです。また、アルコールを摂取した時も同様の現象が起こります。したがって、対処の仕方は以下の3つが挙げられます。

①鎮痛薬を服用する

一番手っ取り早いのは薬を飲むことです。片頭痛は痛み始めたらすぐに薬を服用するのが良く、30分以内に飲まなければ十分な効果は期待できません。日本人の多くは「耐性がつきそうだからなるべく使わない」、「痛みが酷くなってきたら服用する」と鎮痛薬を使用せずにその効果を半減させてしまっています。

その一方で、頭痛の気配を感じたら痛みもしないうちから毎日のように鎮痛薬を服用する人もいるのが現状です。正しく用法・用量を守っていれば大丈夫ですが、過度な使用は当然ながら耐性をつけてしまいます。それだけでなく、薬の飲み過ぎが原因で「薬物乱用頭痛」を起こしてしまいかねません。正しい知識を持って鎮痛薬を服用しましょう。

②患部と首の後ろを冷やす

血管の拡張が原因なので、痛む場所を冷却シートや氷などで冷やすと効果的です。アイシングにより血管が収縮し、冷却部周辺に流れる血液の量が減少します。

首には太い血管がありますが、首を冷やす理由は血管の収縮を促すためだけではありません。首のちょうど真後ろの部分は片頭痛の出口とも言われており、痛みが酷いと硬くなります。したがって、ここを冷やすと痛みが和らぐのです。

③刺激を避けて安静にする

すぐに薬を飲んだり冷やしたりができない場合もあるでしょう。そんな時はとにかく安静にして血管の広がりを抑えることが大切です。具体的に言うと、日差しの下にいるのなら屋内や日陰などに行って休みましょう。運動中なら一回休憩を挟んだほうがよいです。低気圧が原因だと思われる時は大きく深呼吸してみてください。体内に多くの酸素を取り込むことで血管の拡張を抑制できます。

参考:第一三共ヘルスケア株式会社「日本人の「痛み」実態調査」(PDF)
参考:イーアイデム「人類の敵「低気圧の片頭痛」対処法ハウツー教えます」

緊張型頭痛

頭がギューッと締めつけられるように痛い、または重い感じのする頭痛は緊張型頭痛の可能性があります。美容師に多いのがこの緊張型頭痛です。長時間同じ姿勢をしていたり、前かがみになるなどの悪姿勢でいたりすることが多い人によく見られます。その他、運動不足やストレス、疲労も緊張型頭痛の原因です。いずれも首を支えている筋肉の硬化によって血行が悪くなることが原因で、一般的には「肩こり頭痛」と言われています。

片頭痛と併発する場合もあるので、片頭痛持ちの人は対処に気をつけましょう。体を動かして痛みが増す場合は片頭痛、楽になる場合は緊張型頭痛の可能性が高いです。頭痛の種類や原因を見極めたうえで、適切な対処をすることが求められます。

①首周りのマッサージ

筋肉が硬くなると、血管が収縮して血液が流れにくくなります。よって、筋肉の緊張やコリをほぐしてあげるのが効果的です。頭痛が起こっている時に限らず普段から首周りを優しくマッサージし、血行を良くして緊張型頭痛を予防しましょう。

マッサージする場所は首の後ろにある太い骨の両脇、頭蓋骨の下縁(耳の後ろあたり)から肩の筋肉までが目安です。

②体を温める

片頭痛とは正反対で、緊張型頭痛の場合は血管が収縮して血行が悪くなることにより起こります。したがって、対処方法も正反対です。温湿布等で緊張した筋肉付近を温めましょう。その他にも軽く運動やストレッチをしたり、お風呂に入ったり、お酒を飲んだりして血管の拡張を促すのも効果的です。

③リラックスをする

疲労やストレスからくる頭痛の場合は、適切な休みを取ることや、好きなことをしたりラベンダーやイランイランなどのリラックス効果のあるアロマを焚いたりしてリラックスすることが重要です。疲れやストレスを翌日まで持ち越さないことが、緊張型頭痛を予防する第一歩になります。定期的に休むのが難しい人は、スキマ時間を活用してこまめに睡眠を取ったり、限られた時間を工夫して休みの質を高めたりすると緩和されるでしょう。

参考:第一三共ヘルスケア株式会社「日本人の「痛み」実態調査」(PDF)
参考:イーアイデム「人類の敵「低気圧の片頭痛」対処法ハウツー教えます」

群発頭痛

群発頭痛は片頭痛と同じく血管の拡張が原因で起こるものです。脳に入っていく首の太い血管(頸動脈)や眼動脈が広がることで起こります。血管が広がって周囲の痛みを司る神経や交感神経を圧迫し、炎症物質が血管から染み出してしまうからです。眼の充血やなみだ、目元のむくみ、鼻づまりを伴うこともあります。発症するのは8割~9割がた男性で、じっとしていられないほど目の奥が強く痛むのが特徴です。

群発頭痛は心筋梗塞、尿管結石と並ぶ世界三大激痛と言われており、出産の痛みも超えるほど辛く、あまりの痛みに自殺を考える人もいるそうです。2012年にハリーポッターで有名なダニエル・ラドクリフ氏が群発頭痛を患っていることを告白したことで、世間での認知度が増しました。

①禁酒・禁煙

群発頭痛はアルコールによって誘発されると言われています。したがって、群発頭痛を起こさないためには飲酒を控えることが大切です。喫煙でも誘発されることがあるので気をつけてください。

ただし、治ったからといってまた飲酒や喫煙を習慣としてしまうのはいけません。群発頭痛は一旦始まると毎日のように同じ時刻に起こり、23週間が過ぎると治るのですが、数か月が過ぎて忘れたころに再発しやすいという性質を持つからです。群発頭痛を防ぐためには生活習慣を改めることが重要になります。

②鎮痛薬を服用する

片頭痛と同じ血管拡張型の薬なので、通常の鎮痛薬を服用することも対症療法としては効果的です。ただし、なかなか治らないという場合には炎症物質が染み出すのを抑える薬を服用する必要があるので、鎮痛薬の効き目が表れにくい場合には一度医療機関を受診しましょう。

参考:時事メディカル「群発頭痛」

その他の頭痛(二次性頭痛)

ここまで紹介してきた慢性的で繰り返す頭痛は一次性頭痛と言います。そうではなく突発的な頭痛の場合は、体のどこかでトラブルが起こっていたり、何らかの病気のサインであったりする二次性頭痛の可能性が高いです。以下のような痛みに当てはまる場合は危険な病気が潜んでいる恐れもあるので速やかに専門の医療機関を受診してください。

・初めて感じるような頭の痛み
・いつもとは違う痛みかた
・突然頭が痛くなった
・時間がたつにつれて酷くなる
・今まで経験してきたなかで最悪の痛みかた

引用:Medical Note「頭痛い!危険な頭痛の原因と見分け方」

原因をしっかりと把握して正しい対処と対策を

皆さんの頭痛の種類と原因は分かりましたか?頭痛は種類ごとに対策方法が変わってきますし、「なるべく鎮痛薬を飲まないで耐えているほうが良い」という認識も間違っていることが明らかになりましたね。頭痛は正しく対処すれば日常生活にもほとんど影響を出しません。

特に、美容師の方に多い緊張型頭痛に関しては少しの注意で予防できるものです。普段から生活習慣に気をつけて定期的にマッサージをしておきましょう。セルフケアとして足の痛みやむくみを解消するコラム、「アキレス腱ストレッチで健康に 脚のトラブル・むくみの改善方法」もあるので、ぜひ参考にしてください。頭痛に悩むことがなくなれば、より働きやすくなって売り上げやお給料のアップにも繋がるかもしれません。皆さんが健康で元気に働けることを願っています。