補助金制度は、美容サロンを始めとした事業を営む方々にとって経営の助けになる制度です。とはいえ給付金とは違うので、ただお金がもらえるというわけではありません。申請から受給まで細かなルールに則って事業を進める必要があります。そのルールをまとめたものが公募要領です。このコラムでは公募要領をもとに小規模事業者持続化補助金について必要な情報を分かりやすくまとめました。申請を考えている方はぜひ最後までご覧ください。

小規模事業者持続化補助金とは

japanese-yen

2021年7月現在、申請受付中の小規模事業者持続化補助金は2つあります。

1つは令和元年度補正予算「小規模事業者持続化補助金<一般型>」
もう1つは令和2年度第3次補正予算「小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」です。

2つとも従業員数が少ない小規模の事業を営む個人事業主や法人・団体を支援対象としています。平たく言うと、小規模事業者が「これに取り組もう!」と新しい事業計画を立てて、それが国に認められれば、その事業に必要な資金を援助してもらえるという仕組みです。補助金は後払い制ですが、返済する必要はありません。

ちなみに小規模事業者の定義は、フルタイムで働く従業員(経営者やその家族を除く)が5人以下であることです。ただし、宿泊業や娯楽業、製造業の場合は20人以下と定められています。美容サロンは通常のサービス業にあたるので、パートやアルバイト以外の従業員が5人以下であれば小規模事業者です。なお、たとえフルタイムで働いていたとしても、休業中や業務委託の場合は5人のうちに含まれません。

さて、どちらも同じ小規模事業者持続化補助金という括りではありますが、それぞれ目的や支援内容、申請手順などが異なります。特に、今年に入って新設されたばかりの<低感染リスク型ビジネス枠>については、よく知らないという方も多いのではないでしょうか。そこで、このコラムでは<低感染リスク型ビジネス枠>について分かりやすくご紹介していきます。

低感染リスク型ビジネス枠の特徴

この補助金をつい最近初めて知ったという方も多いと思いますが、内容をよく知らなくても名称から「コロナ対策用の補助金なのかな」と想像したのではないでしょうか。この補助金事業の概要については以下のように示されています。

本事業は、小規模事業者が経営計画及び補助事業計画を作成して取り組む、感染拡大防止のための対人接触機会の減少と事業継続を両立させるポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等に関する取組を支援するものです。

引用:令和2年度第3次補正予算「小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」公式サイト

つまり、新型コロナウイルスの感染を抑えながら営業し続けるための新しい事業に取り組む小規模事業者を支援するのがこの補助金です。では、どんな事業ができるのでしょうか。

補助対象経費は12種類あり、複数種類の申請が一度にできますが、ここでは美容サロンで行う事業に関係が深いものをピックアップしてご紹介します。

機械装置等費

機械装置等費とは、お客様やスタッフ、取引先との接触を減らすために必要な機械類を購入するのに必要な経費です。

例:オートシャンプー、セルフ脱毛機器、ドームサウナ

※取引先とのオンライン商談用パソコンなど、事業以外の目的にも幅広く使えてしまうものは対象になりません。

広報費

広報費とは、接触機会を減らす新たなサービスや商品などを宣伝するための経費です。

例:ネットショップと連動させたホームページの制作費用、オンラインサービスの宣伝に特化した広告

※補助事業と関係のない内容を宣伝したり、単純にサロンをPRしたりするだけでは対象外になってしまいます。

開発費

開発費とは、感染拡大防止に関連する商品・サービスの開発経費です。試作品の原材料費や設計・デザイン費も含まれます。

例:ネット販売専用のシャンプー開発、自宅での筋トレ用マシンの生産

設備処分費

設備処分費とは、補助事業を行うためのスペースを確保する目的で、既存の設備を解体・処分する経費です。

例:オートシャンプーと入れ替えるためのシャンプー台撤去、オンラインセミナーの撮影・配信場所にするための不用品処分

感染防止対策費

感染防止対策費とは、該当する業種のガイドラインに沿って実施する感染防止対策に必要な商品や設備を購入する経費です。

例:非接触型消毒器、高機能換気機器、非接触式体温計

※感染防止対策費のみ補助金総額の1/4が上限(最大25万円)です。ただし、緊急事態宣言によって前年同月比が30%以上減少した場合、別途申請をすることで1/2(最大50万円)に引き上げることができます。また、感染防止対策費は他の補助対象経費と一緒に申請することが必要です。

補助事業経費全般に関する注意事項

これだけいろいろなことに使用できる補助金ですが、国から頂くお金ですから何でも無制限にというわけにはいきません。うっかりすると、申請が通ったのに補助金は結局もらえなかった……ということもあり得ます。そのため、何が良くて何がダメなのか、申請前にしっかり確認しておくことが必要です。

①補助事業に使用したことが明確で、金額や事業結果が確認できる

当たり前ですが、補助事業を目的とした内容でなければ補助金を受給することができません。たとえば、ネット販売を行うための補助事業を計画したとしましょう。そのためにホームページを作ると申請し、採択されました。しかし、ネット販売よりも新規顧客獲得に繋がるホームページの方が欲しくなり、結局作ったのは店舗PR用のホームページでした。

この場合、補助事業とは関係のない制作物とみなされるので、ホームページ制作にかかった費用は補助対象になりません。また、請求書や領収書、納品書などはもちろんのこと、報告書に制作したサイトのURLを明記するほか、ホームページのキャプチャ画像といった証拠書類の提出が必須なので、ごまかしは利きません。

なお、虚偽の報告を行うと、不正受給・交付規程に違反しているとみなされ、法令による罰則のほか、採択取消、交付決定取消や交付済み補助金の全額返還(加算金付き)などの重たい処分を受ける可能性があります。都道府県の労働局により不正受給業者の情報が公表されたり、その他補助金等の支給が停止になったり、悪質な場合は刑事事件として扱われ、サロンの社会的信頼の失墜に繋がりますので、絶対に不正は行わないようにしましょう。

②補助事業実施期間内での事業遂行

申請内容と合致していたとしても、補助事業期間外に実施してしまうと補助対象外になってしまいます。定められた期間内で事業を行うように注意してください。見積もり・発注日から納品日までのすべてが事業期間内でなければいけません。たとえば分割払いをしていて、最後の支払日が事業期間後になってしまった場合、支払いが完了したとみなされないので補助対象外です。

ちなみにこの<低感染リスク型ビジネス枠>に関しては、特例として202118日以降に発生した経費をさかのぼって補助対象にすることができます。事業開始日は申請時に自分で定めることができるので、事前にスケジュールを確認したうえで申請するようにしましょう。

③指定期日までの実績報告書の提出

冒頭で述べたとおり、国からの補助金支給は採択を受けた事業遂行後になります。そのため、事業遂行の証明として実績報告書の提出が必要です。実績報告書は採択を受けた事業計画をすべて遂行し終えた日(納品日)から起算して30日を経過した日、または、補助事業実施期限日の属する月の翌月10日のいずれか早い日までに提出をします。この期日に遅れた場合は補助金を受給することができないので十分注意してください。

<低感染リスク型ビジネス枠>の第3回公募スケジュールを例に考えてみましょう。

補助事業実施期間 交付決定日から2022年6月30日(木)まで
補助事業実績報告書提出期限 補助事業実施期限日の属する月の翌月10日の2022年7月10日(日)まで

すべての事業を終えた日が2022527日(金)である場合

事業計画をすべて遂行し終えた日から30日を経過した日は626日(日)になります。
補助事業実施期限日の属する月の翌月10日の2022710日(日)よりも、30日経過した日のほうが早いので、この場合は626日(日)が実績報告書の提出締切となります。

すべての事業を終えた日が2022620日(月)である場合

事業計画をすべて遂行し終えた日から30日を経過した日は、730日(土)になります。
補助事業実施期限日の属する月の翌月10日の2022710日(日)よりも、30日経過した日のほうが遅いので、この場合は2022710日(日)が実績報告書提出の期限となります。

およそ20日間で実績報告書や必要な証拠書類を揃えなければいけなくなるので、スケジュールがかなりタイトなものになります。補助事業期間の締切の1ヶ月前までに採択を受けた事業を終えておくと、余裕を持って報告の準備ができますので、無理のない事業計画を立てましょう。

申請条件と補助金額

<低感染リスク型ビジネス枠>は、コロナ禍を乗り切りたい小規模事業者にとって魅力的な補助金です。とはいえ、申請するためにはいくつかの条件があります。これから申請を考えている方は、一つひとつ確認してみてください。

☑<一般型>の採択を受けていない・<一般型>の採択を受けてから10か月経っている
☑<コロナ特別対応型>の採択を受けていない
☑<低感染リスク型ビジネス枠>の採択を受けていない
☑小規模事業者である(フルタイムの従業員が5人以下)
☑電子申請ができる環境である(パソコン・Wi-Fiなどのインターネット環境必須)

これらの条件すべてに該当する方であれば、基本的に申請することが可能です。公募要領には他にも細かな条件が載っていますが、一般的な美容サロンであれば該当しないと思われるので今回は省略しました。気になる方は、ぜひ一度公募要領の「補助対象者」の項目をご確認ください。

また、補助金額には上限があります。<低感染リスク型ビジネス枠>では補助対象経費の3/4(75%)が補助されますが、上限は100万円です。つまり、補助対象経費が133万円を超える場合は一律100万円の補助金額になります。

以下は、税区分ごとの補助金額を簡単に表したものです。免税事業者と簡易課税事業者は、税込み価格を補助対象経費として申請することが可能なので、税金分の負担が少なくなります。

補助対象経緯*
(実際に使う金額)
補助金額
(受給できる金額)
課税事業者 150万円
100万円
50万円
100万円
75万円
37.5万円
免税事業者 150万円
100万円
50万円
100万円
82.5万円
41.25万円
簡易課税事業者 150万円
100万円
50万円
100万円
82.5万円
41.25万円

*税抜き表示

実際に採択された事業例

business-plan

ここまでは申請に関する基本的なことをご説明してきました。では、実際にどのような事業が採択されているのでしょうか。<低感染リスク型ビジネス枠>第1回受付において申請受理された美容サロンの例をいくつかご紹介します。

・ヘア施術キットのオンライン販売による販路拡大事業
・理容室のAI診断導入によるヘアカウンセリングオンライン化事業
・ネイルサロンのオンラインセミナー開催によるサービス提供の拡大
・ネット広告等によるハンドメイドのネイルチップ通販PR事業
・まつ毛美容液販売のECサイト展開による販路拡大事業
・まつ毛エクステサロンの飛沫感染予防安心モデル構築
・非対面セルフエステの環境整備と通販サイト開設
・ECサイト導入による対面機会の減少と客層別エステメニュー増設
・非対面型ラクラク筋トレメニューの販売による販路開拓の取組
・売上回復とオンライン健康セミナーによる地元住民への貢献

引用:採択者一覧(第1回受付締切分)

美容サロンでは、オンラインでのセミナーやカウンセリング、商品のEC販売などを補助事業として行うところが多いようです。このように、採択者一覧ページの補助事業名からはある程度事業内容が分かるので、これから申請を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

申請方法について

今までの小規模事業者持続化補助金では、郵送申請が可能でしたが、この<低感染リスク型ビジネス枠>については電子申請のみです。補助金申請システムjGrants(Jグランツ)を使ってネット上で申請を行います。申請までのおおまかな流れは以下の通りです。

1,公募要領を確認し、申請条件を把握
2,
GビズIDの取得
3,申請に必要な各種書類(申請様式)をダウンロード
4,申請様式に記入
5,Jグランツにて必要事項を入力・データの添付

Jグランツで申請するためには、事業者アカウントのGBizIDGビズID)が必要です。ただし、GビズIDの取得申請をしてからアカウント作成ができるまでに約2週間かかります。通常の取得手順を踏んでいると申請期限に間に合わない可能性があるので、まだGビズIDをお持ちでない場合は暫定アカウントの取得がおすすめです。これならば最大2日ほどで取得できます。暫定アカウントは申請後、速やかに正式なアカウントに切り替えれば問題ありません。

また、申請書類は複数ありますが、すべてをダウンロード・記入する必要はありません。申請に最低限必要な書類は以下の3点です。

・【様式1】経営計画及び補助事業計画(Word)
・【様式2-1】宣誓・同意書(PDF)
・【申請補助資料】補助金額計算用補助資料(Excel)

これら以外にも申請書類はありますが、一定の条件に該当し、特別措置を希望する場合にのみ提出するものなので、この3点に過不足なく記入すれば問題なく申請できます。なお、公募回によって書式が変わることもあるので、常に最新の書式を使用しましょう。

上記の準備が整えば、あとはJグランツに必要事項を入力して、各種書類をアップロードするだけです。公式サイトには、Jグランツを初めて使う方でもスムーズに申請できるよう、入力の手引きが公開されています。手引きを参考にしながら申請を進めましょう。申請状況はJグランツのマイページからいつでも確認できます。

申請期間

現時点で発表されている<低感染リスク型ビジネス枠>の公募回は全部で6回です。申請期間は公募回ごとに約2か月となっています。

第1回受付締切:2021年5月12日(水)※公募終了
第2回受付締切:2021年7月7日(水)※公募終了
第3回受付締切:2021年9月8日(水)※公募受付中
第4回受付締切:2021年11月10日(水)
第5回受付締切:2022年1月12日(水)
第6回受付締切:2022年3月9日(水)

なお、いずれの公募回も申請受付締切は17時までです。17時の時点で申請完了ボタンが押されていない場合、申請は無効となりますのでご注意ください。また、締切当日は大変アクセスが集中しやすく、Jグランツにログインできない可能性もあります。余裕を持って申請手続きを完了させましょう。

補助金をスムーズに申請して経営に活用

小規模事業者持続化補助金や<低感染リスク型ビジネス枠>の特徴、申請できる内容や手続きについてご紹介してきました。補助金申請というと複雑で難しいイメージがありますが、このコラムが少しでも理解の手助けになれば嬉しいです。

また、現在ビューティーパークカレッジでは、美容サロン様向けに<低感染リスク型ビジネス枠>の申請サポートを行っています。申請可能かどうかのご相談から、補助事業のアドバイス、書類作成支援、必要書類の提示、Jグランツの入力サポートなど、申請完了まで手厚くフォロー。ご興味のある方はフォームに「経営サポートパックについて」とご記載のうえ、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちらからどうぞ

参考:令和2年度第3次補正予算「小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」公式サイト
参考:令和2年度第3次補正予算「小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」公募要領

※当記事は執筆時(2021年7月現在)施行されている法律に基づき、関連参考資料を精査したうえで作成しております。法律の改正が生じた場合・法に違反する内容があると発覚した場合は予告なく記事の修正または削除を行います。ご理解のうえお読みください。